GLVは回折を利用したデバイスであるため単色光源と相性が良く、特にシングルモードのレーザー光源が最適です。LEDも使用できますが、このとき光学効率が低下します。GLVは1次元で線状のデバイスであるのため、通常の円形のレーザー光源はライン形状に変換して照明する必要があります。
図は典型的なGLV 照明系と結像系の構成を示しています。この図の光路は便宜上、GLVの前後で一直線になっていますが、一般的にはGLV への照明に若干の入射角(一般的には5-20°の角度)を持たせますので、入射光路と反射光路は逆向きかつ角度を持った構成となります。他の光学系として、光ピックアップ光学系で見られる偏光回転素子と偏光ビームスプリッター光学系を組み合わせた垂直入射の構成も利用することが可能です。
GLVへのライン照明はパウエルレンズやDOE素子(Diffractive Optical Elements: 回折光学素子)、単シリンドリカルレンズ等により発生させることができます。後者の場合、GLVそのものを光量分布の補正デバイスとしても使用可能です。すなわちGLVのピクセル並び方向に沿ったガウス光分布を“平らにする” ために使うことができます。ここでの説明には、パウエルレンズの例が図に示されています。レーザーからの円形ビームは光軸に対し一様な角度に分散します。“遅速軸(Slow axis)”コリメーターはこれら分散した光線を平行にし、GLVのピクセル並び方向に沿って一様な入射角かつ一様な光強度分布を持った矩形形状の分布を作ります。次に直交する” 高速軸(Fast axis)”では、シリンドリカルレンズによってGLV上に光を集光します。高速軸の一般的な開口数は0.01から0.1です。ライン照明の高速軸側のビーム幅をリボンの長さの1/3以下(50-75um)にすることで最適なコントラストが得られます。イメージングのページで紹介したようにGLVの結像系は、2組のフーリエ変換レンズとレンズ間のフーリエ面に配置したアパーチャーにより構成されています。像の倍率は2組のレンズの焦点距離の比で決まります(すなわち M = f2/f1)。